ブロードウェイミュージカル「シカゴ」
20周年記念ジャパン・ツアー

NEWS&BLOG

(1)HISTORY/『CHICAGO』誕生の奇跡

『CHICAGO』をもっと深く知るための            3つのキーテーマ  ALL WE CARE ABOUT IS CHICAGO   (1)HISTORY/『CHICAGO』誕生の奇跡   黒一色のミニマムな世界   シックでセクシーな黒の衣裳を身にまとったダンサーたち。シンプルな照明効果に、漆黒の椅子をいくつか用いた効果的な場面転換。大掛かりなセットは、舞台上で音楽を奏でるバンドのピットだけ──。ミニマムな舞台が最高にクールな雰囲気を作り出す、この『CHICAGO』の世界は観る者の心をとらえて離さない。 シンプルの極みといえる演出は、1996年秋にブロードウェイで幕を開けた『CHICAGO』リバイバル版(ウォルター・ボビー演出/アン・ラインキング振付)における最大の魅力といって間違いないだろう。余計なものは一切ない、だからこそ最高にカッコよくてスタイリッシュ。現在、『CHICAGO』が世界中で大ヒットを記録し、上演を重ねているのは、この洗練美が大きな要因となっているはずだ。   そもそもこのリバイバル版は、隠れた名作ミュージカルをコンサート形式で上演する「アンコール!」シリーズの一環として、96年春に4公演限定で上演された舞台が原点。要するに、衣裳にもセットにもお金はかけず、舞台上に配置されたオーケストラの手前のわずかなスペースで俳優たちが台本を手に持ちながら演じ、ダンスナンバーを見せるという簡略化バージョンなのだ。その悪条件を逆手にとった絶品のステージがNYの演劇ファンたちに絶賛され、大好評を受けてそのままの形式でブロードウェイに登場したのである。   ちなみに、ボブ・フォッシー演出・振付による『CHICAGO』初演版(75年)は、黒一色どころか、光り物の帽子やら格子柄のジャケットやら派手なネオンやら、もっと色とりどりで雑然としていた。というのも、この初演版には「A Musical Vaudeville」というサブタイトルが付いており、幼いころからステージに立っていたフォッシーの原風景でもある、寄せもの演芸小屋的なヴォードヴィルの〈All That Jazz=なんでもあり〉な熱気がたっぷりと込められていたのだ。   事実は小説より奇なり   殺人を犯した二人の女が、名声を懸けていがみ合う──。この上なくブラックな『CHICAGO』の物語だが、実はこの冷酷な女殺人犯たちにはモデルがいる。   ミュージカル『CHICAGO』は、そもそも26年に元ジャーナリストのモーリーン・ダラス・ワトキンスが発表した戯曲『Chicago, or Play Ball(=シカゴ、あるいはゲームの開始)』が原作。ワトキンスが記者として働いていたシカゴで、24年の春、スキャンダラスな2件の殺人事件が起こった。一つはバツ3のキャバレー歌手の夫殺害事件、もう一つは自動車修理工の妻の愛人殺害事件。ちなみにこの年、〈暗黒街の帝王〉ことアル・カポネが根城とする退廃と虚栄の街シカゴでは、女性が夫や愛人を殺した事件が7件もあったという。インタビューと裁判傍聴を行ったこの二つの事件の無罪判決を見届け、ワトキンスは劇作家に転身。彼女たちをモデルに、ぬけぬけと無罪を訴える美しき殺人犯、ロキシーとヴェルマが登場する戯曲を書き下ろしたのだ。   戯曲『シカゴ』は後に2度も映画化(27年/42年)。2本目の映画を見たブロードウェイの名ダンサー、グウェン・ヴァードンがロキシー役に興味を示し、公私にわたるパートナーであるフォッシーに舞台化のアイデアを話したことから、ミュージカル『CHICAGO』が完成する。この初演は2年間のロングランを記録したものの、アメリカ最高峰の演劇賞であるトニー賞では無冠に終わった(ちなみに、同年のトニー賞で9部門を制したのは『コーラスライン』)。   その後、伝説のミュージカルと化していた本作だが、94〜95年ごろにアメリカのメディアを席巻したO・J・シンプソン事件(元妻とその友人男性の殺害容疑で起訴された元アメフトの花形選手が、大弁護団を雇って無実となった事件)をきっかけに、前述の演出家W・ボビーは「アンコール!」シリーズでの『CHICAGO』上演を思いつく。「セレブとメディアと大衆の狂乱ぶりを描いた『CHICAGO』は、現代にこそ受け入れられる」という彼の予感は見事に的中した。   トニー賞ほかあらゆる演劇賞を総なめにした本作の大ヒットは瞬く間に世界中に広まり、この影響で実現した映画版「CHICAGO」(2006年)はアカデミー賞で最優秀作品賞をはじめとする6冠に輝いた。12年8月現在、ミュージカル『CHICAGO』リバイバル版は続演16年目にして、ブロードウェイでのアメリカミュージカル作品のロングラン記録1位を樹立している。 [caption id="attachment_549" align="alignleft" width="300"] photo by Masahiro Noguchi[/caption]

× CLOSE

× CLOSE

× CLOSE

× CLOSE

× CLOSE

× CLOSE